過去を振り返って(43)

脱出

オレは部屋に戻り、帰り支度を始めた。

いったい何しに大阪まで来たんだ?

年甲斐も無くブチ切れてしまって・・・。

まぁ、仕事内容が思っていた感じとは違うし

あの営業部長の下で働く気はしないな。

この会社には縁がなかったのだろう。

オレはそんな事を思いながら、支度を終え部屋を出ようとした。

すると係長がやって来て

「本当に辞めるのですか? 部長に謝って、撤回して下さい!」

オレを説得しようとするが、オレにはその気がない。

そして係長に、「本当にすみませんね。ムリなものはムリですわ」

「あっ、こんな感じで辞めますが、研修に出た分の賃金は貰えますよね?」

もう辞めると決めたオレは図太かったw

それでも引き止めようとする係長を半ば強引に断ち切って

ホテルを後にしたのだが・・・

ここから地元まで、どうやって帰ればいいんだ?

病的な方向音痴なオレ

こうなったら、適当に歩いてみるか・・・

20分ほど歩いたら、幹線道路らしき大きな通りに出てきた

ここならタクシーを拾えそうだ。

しかしタクシーに乗って、どこに行けばいい?

大阪は全然土地勘がない。

しばらく道路脇で考える・・・

梅・・・ 梅田? たしか駅があった筈

そこに行けば、何とかなる! かな・・・?

かすかな情報で、オレはタクシーを止めて乗り込んだ。

梅田駅まで10分くらいで着いたが・・・

どの電車に乗ればいい?

さっぱり分からない。

駅の前をウロウロしていたら、駅横にバスターミナルをみつけた。

オレは電車に乗るより、バスの方が落ち着く人間だ

迷わずバス移動にする事にしたが、路線図や時刻表をみてみたが

地元までの直行便は無い。

でも地元がある九州で、福岡・博多行きの夜行バスがあり

それに乗る事にした。

しかし運行まで時間がたっぷりとある

現在15時、バスの時間は21時なのだ。

方向音痴のオレはその場から移動するのを拒んだ。

ほぼ6時間その場で、ボケ〜〜〜っと立って、お地蔵さん状態

迷子になるより、立っていた方が気が楽なのだ。

やっとバスの時間がきて、乗り込み席に座ると

旅行バッグの中から、MP3プレーヤーを取り出し

イヤホンで、ブルーハーツの【青空】を聞いた。